更新日:2023年4月25日
top of page
更新日:2023年2月22日
~SDGsの基本にある~幸せって何だろう
SDGs推進室 馬場滋
幸せその2 コーヒー採取・栽培のお母さん
彼女はキーコーヒーの農園でコーヒー豆の採取の仕事をしながら、自分の敷地でもコーヒーを育てています。
彼女はご主人と4人の子ども達の6人暮らし。トラジャ族の人たちは、宗教上の関係で、トラジャ族同士で結婚するケースが多く、子どもは4人~6人産むそうなので、僻地ともいえる場所でありながら、人口が減る事はほぼないそうです。
ご主人の仕事は聞けませんでしたが、大学生と高校生の娘さん。中学生の長男。次男は、生まれつきのろうあ者で、学校には行っていないそうです。しかし、その次男君も人懐っこい性格で、撮影している我々の後をずっと追っかけていました。
インドネシアもここ数年で急激にケータイが普及しました。ここの女子二人も嬉しそうに携帯を持ち歩いていました。
おそろしい程の人数が、荷台に乗ったバスもインドネシアの名物です。
-このご家族にもお聞きしました。
「皆様、幸せですか?」
-そうすると、皆で顔を合わせて、大きな声で言ってくれたのです。
「幸せです。」
-そしてお母さんはこう答えてくれました。
家族といるだけで、家族がいてくれるだけで幸せだと思います。この子達二人も、間もなく嫁に行くでしょう。結婚式の事を考えるだけでも、ワクワクします。
(※トラジャ地方の方達にとっては結婚式とお葬式は人生の一大行事なのです。)
幸せその3 アワード受賞の22歳
彼女はコーヒーを栽培するために、2年前ここに引っ越してきました。トラジャの中でも、かなりの奥地。ホテルから、1時間半以上ジープに揺られてやっと着きました。10歳上のご主人と二人の子どもの4人家族です。
私たちから見たら、何でこんな奥地にと思うのですが、本人は引っ越せただけで大満足で、一生ここに住むつもりでいるそうです。
かなり大きな家ではありますが、家財道具も電化製品もほぼありませんでした。電気は通っているようですが、電球1個を付けるのがやっと。お湯を沸かすのも、調理をするのも、全て薪を焚いています。
汚い話になりますが、トイレは屋外に建ててあります。夜は正に真っ暗闇の中をトイレに行かざるを得ません。トイレの小屋には、鍋やタライも置いてあり、衛生に対する概念も違う事を実感しました。
トイレと言っても、小を足すだけ。柄杓で水を救って流すだけです。インタビューした3つの家、皆同じでした。大は犬や家畜に食べさせるか、昔の日本のように肥料にするそうです。
庭には、タバコの原料となる木も植えてありました。インドネシアの男性は、ほぼ喫煙者です。
インタビュー中にスコールが降り出し、このお宅の入り口となる道路が完全な泥濘になってしまいました。私たちが乗っていたジープは前に進めず、崖に後輪がかかる始末。後部の二人はあわてて逃げ出し、私自身も命の危険を感じてしまいました。
彼女は毎年、キーコーヒーが優秀なコーヒー豆を納入した業者を表彰するアワードを、見事受賞しています。
-受賞した事を誇りに思っている彼女に聞きました。
「幸せですか?」
「もちろんです。頑張って来た甲斐がありました。」
「今は子供二人しかいませんが、私はまだ22歳です。これからさらに10人作りたいと思っています。12人の子ども達に囲まれる生活って良いと思いませんか。」
本当に嬉しそうにそう話すのです。聞いている私たちは思わず拍手を送ってしまいました。
幸せって何だろう
トラジャの人たちは、すぐにお葬式を行いません。「ランブ・ソロ」と呼ばれるお葬式には莫大な費用がかかります。その費用が貯まると想定される、何年後のいつにお葬式を行おうと、親戚一同で決めます。
亡くなって、お葬式を行う日までは、病院でミイラ状態にしてもらい、自宅か自宅周辺に祀っておくと聞きました。お葬式は三日三晩、長ければ一週間以上行われます。その際、水牛は故人を天国へ連れていく重要な生き物として扱われます。
訪れた人々の目の前で、水牛は故人のために生け贄として命を捧げられるのです。お葬式には、親戚一同だけでなく、近所の方も全て集まり、魂を送ります。
幸せの感じ方は環境と場所で全く異なります。
インタビューした3人の女性は、本当に幸せそうでした。心から幸せだと思っているのでしょう。家族がいるだけで、家族と一緒に暮らせるだけで、家族と一緒に食事をするだけで、幸せなのです。
自分たちの事を貧乏だと思っていません。暮らしていけるだけで十分なのです。
テレビも見ない、新聞もない、インターネットもないので、情報量が少ない事も要因だと思います。戦後から、昭和30年代位までの日本もそうだったのではないでしょうか。
彼らに、お金を渡すことがSDGsではありません。彼らと話し、彼らの想いを聴いて、彼らの望みに少しでも寄り添っていく事がSDGsだと思います。SDGsの原点である「誰一人、取り残さない」を本当に実感しました。
手にするお金が少ない、欲しいものが手に入らない。それで不幸だと思っている日本人が恥ずかしくなりました。
人生観を変えてくれた、インドネシアに感謝します。
●「インドネシア トラジャ地方訪問レポート」前編はこちらから。
●ADEX plusについてのお問い合わせはこちら:CONTACTページへ
更新日:2023年2月22日
~SDGsの基本にある~幸せって何だろう
SDGs推進室 馬場 滋
2022年11月3日(祝)~13日(日)の11日間、キーコーヒー様の仕事でインドネシアのトラジャエリアの取材に行ってきました。キーコーヒー様がトラジャで行っている、SDGsの活動を、消費者に伝えるための動画を作ることが目的です。インドネシアは初めての経験でした。
夜明けの1時間以上前に集合して雲海を撮りに行くなど、超が付く、ハードスケジュールで、道なき道をジープで何時間も揺られる過酷なロケでした。しかし、今は本当に行って良かったと思っています。
その国の生活を知り、その国の人たちと触れ合う事が出来たからです。
皆様も海外に行かれる事は多いと思いますが、その大半は観光かと思います。
観光は名所を訪れ、その国の美味しいものを食べるのが目的です。都会の方と話す機会があっても、地方のたちと触れ合う事は殆どありません。
今回の取材で、本当に人生感が変わりました。
幸せの感じ方は、場所によって、環境によって、大きく異なる事を実感したのです。
【インドネシア トラジャの基本情報】
トラジャは、広いインドネシアのほぼ真ん中、スラウェシ島港湾都市マカッサルの北部にあります。東京からジャカルタまで約8時間。ジャカルタで乗り換えて、マカッサル迄4時間のフライト。そこから車に揺られて、10時間の場所です。
マカッサルからトラジャ中心部までは、ほぼ舗装されているのですが、一歩中心部を離れると、舗装されておらず、ジープかバイクでないと移動できません。
インドネシアのバイク地獄は有名で、多くの家庭が5年ローンでバイクを購入しています。家族3人乗り、4人乗りも頻繁に見かけました。基本的には年齢制限もあり、ヘルメット着用なのですが、お巡りさんも少ないため、ノーヘルの方も目立ちます。
中学校を訪問しました。民族舞踊を踊って頂き、歓迎されました。朝7時半始業、12時半終業です。給食はなく、みんなお弁当を持ってきます。
トラジャの人たちは、皆、早起き。夜明けと共に生活が始まります。6時過ぎに家を出て、歩いてくる子も多く、お母さんは、それまでにお弁当を作って持たせるのです。
幸せ その1 コーヒー豆選別のお母さん
彼女はコーヒー工場で、豆の選別を仕事にしています。色で豆を見分け、良い豆だけを選別しています。工場には100人程の女性が働いており、年によって異なりますが、大体7月から11月までが労働期間です。
インドネシアの最低賃金は、月約3万円。彼女の腕はトップクラスですが、それでも年収は高いとは言えません。インドネシア全体の平均年収が約40万円で、このエリアの中では悪くはないのですが、とても贅沢が出来る収入ではないでしょう。
ご主人と離婚し、コーヒー豆の選別の仕事を始めました。選別期間以外は、農園で野菜を育てながら、鶏と豚を飼っています。子どもは3人いるそうですが、3人とも独立し、現在は一人暮らしです。
これが彼女の自宅です。失礼ですが、日本では考えられないような作りでした。家財道具も少なく、古いテレビは置いてありましたが、トラジャエリアは電波状態が悪く、高い受信機を置かないと映りません。日が暮れると、お湯を浴びて早めに寝るそうです。
今の彼女の生きがいは、休みの日に教会で子供たちに、トラジャ伝統の切り紙を子供たちに教える事です。
-このような生活を送る彼女に聞きました。
あなたは幸せですか?
-するとこう答えたのです。
とても幸せです。今の生活に不満はありません。十分な給料も頂いていますし、子ども達も頻繁に訪ねて来てくれます。協会で教えるという生きがいも出来ました。トラジャで生まれて、トラジャで生活し、毎日も充実しています。本当に幸せな人生です。唯一の望みは、いつまでも工場で働ける正社員になることですかね。
-満面の笑顔で、話してくれました。
●「インドネシア トラジャ地方 訪問レポート」は後編に続きます。
引き続き~SDGsの基本にある幸せ~のあり方について「インドネシア トラジャ地方 訪問レポート」とともに考察をしていきます。
●ADEX plusについてのお問い合わせはこちら:CONTACTページへ
ADEX Plusの記事・コンテンツについてのお問い合わせは下記よりご連絡ください。
内容を確認させて頂き後日、担当者よりご連絡、ご返信致します。
bottom of page