キャラクタービジネスは近年、多様化が進み、その可能性はいまも広がり続けています。今回は、株式会社キャラクター・データバンクの代表取締役社長であり、一般社団法人キャラクターブランド・ライセンス協会(以下CBLA)副理事長も兼任する陸川和男さんと、同協会の事務局長を担当する株式会社日本経済広告社(以下、ADEX)プロモーション コンテンツ局 局長 大椛武人に、キャラクタータイアップの魅力についてお話を伺いました。
《 前編 》(本記事)
《 後編 》(後編はこちら)
キャラクタータイアップの盛り上がりとCBLA
ー昨今のキャラクタータイアップは凄い盛り上がりですね。
陸川:
本当にかつてないほどマーケットが拡大しています。様々な要因があると思いますが、キャラクターという存在自体があらゆる人々に受け入れられ始めていると感じていますね。
ー話題になるキャラクターが増えている実感もあります。これはCBLAの活動も
その一端を担っているのではないですか?
陸川:
いえいえ(笑)我々CBLAはあくまで後押しなので…
ー陸川さんが副理事長を務めるCBLAについて教えてください。
陸川:
キャラクターブランド・ライセンス協会、通称CBLAは、国内におけるキャラクターやブランドなどのIP(知的財産)を対象にしたライセンスビジネスを推進する団体です。日本発キャラクターの輸出促進を図るための海外展示会でのジャパンパビリオン展開や、国内最高のライセンスブランド&キャラクターを決定し、ライセンスビジネス産業の価値を広く社会に発信するアワード、「日本キャラクター大賞」の展開、会員様向けの各種セミナーの開催、ネットワーキング機会作りなどを行っております。
大椛:
日本キャラクター大賞は前身のライセンシング・オブ・ザ・イヤーから数えて今年で15年目となります。この大賞は業界内で非常に高い評価を受けていると思いますが、今年の受賞作品も誰もが納得の作品が受賞しましたね。
陸川:
そうですね。今年の各種グランプリを受賞したキャラクターは直近3年間で国内外での人気が急上昇しており、納得の結果だと思います。他にも幅広い層に人気のあるTVアニメのキャラクターが受賞しており、どれも注目されている作品です。
※日本キャラクター大賞:https://www.charabiz.com/award/index.html
ープロモーションライセンシー賞についてもお聞かせいただけますか?
大椛:
国内の有名キャラクターを起用したファーストフードチェーンのノベルティが受賞しましたね。
陸川:
はい、そのキャラクターの生誕50周年の特別企画で受賞しました。今や世代を超えた人気があり、周年の特別感のある企画がメディアでも取り上げられ、非常に注目されました。
大椛:
毎年関わっていると、キャラクターマーケットの拡大や企業プロモーションの手法が格段に進化していて、本当にクリエーティビティが上がってきていると感じます。
陸川:
各社が色んな切り口で取り組んでいるので、審査するのも一苦労ですよ。笑
ーまさにお二人はキャラクターのプロフェッショナルですね。
それではお二人にキャラクターを用いたプロモーションについてお聞きしたい
と思います。
キャラクターを用いたプロモーションの魅力
ーずばりキャラクターを起用する魅力はなんでしょう。
大椛:
起用するキャラクターにもよりますが、全世代に訴求できる可能性があるということでしょう。例えばタレントであれば、一定の層には深く訴求できますが、全世代まで訴求でき、好感を得られる方は少ないでしょう。
一方キャラクターは、あらゆる年代にファンを持つことが可能で、そういった人気キャラクターであればオールターゲットに近い商材でもフィットすると思います。
陸川:
仰るとおりだと思いますよ。
大椛:
あとはキャンペーンのときに間違いなくノベルティグッズを作るじゃないですか。そういうときにタレントのノベルティよりキャラクターのノベルティの方が欲しがる人が多いんですよね。やっぱり持っていて可愛いとか、いわゆる日本人の大人も可愛い文化が大好きなんですよ。
陸川:
まさにそうですね。加えて全年代に高い知名度と好感度を誇るキャラクターだったとしても、タレント・著名スポーツ選手と比べると、比較的コストを抑えて起用できます。
大椛:
あとキャラクター自身がコンプラ違反でSNSを賑わせることもないですしね。(笑)
陸川:
それは確かに。(笑)加えてクリエーティブ上の表現の自由度もキャラクターならではでしょう。もちろんキャラクターイメージを守るための制限はありますが、いきなり空を飛ばした動画を作ることもできる。例えば日本を代表するようなアイドルに同じシチュエーションをしたら…条件は相当厳しいでしょう。
大椛:
あとは現場として感じるのは確認の進めやすさと言いますか。
陸川:
スタイルガイドですね。
大椛:
はい。ルールがしっかり決まっているから現場である程度ジャッジができる。タレントであれば写真一つとってもガイドがないのでレタッチの確認とかがもう…。(笑)
陸川:
お察しいたします。(笑)
ーありがとうございます。昨今はSNS発の人気キャラクターも登場していますが、
その魅力も教えていただけますか。
陸川:
企業タイアップの効果をフォロワー数だったりインプレッション数だったりと、定量的な数字で求められることが多いと思うんです。でもキャラクターで大切なのはファンの熱量。一般的な認知は低いけど、熱量の高いコアな人がしっかり支えてくれている。これを活用することで、そのファンの人たちは確実に商品を買ってくれたりとか、プロモーションに参加してくれたりというのが読めるんですよね。
大椛:
フォロワー数だけじゃなく、どれくらい書き込まれているとか、どういう反応があるかとか定性的なものが大事なときもあります。数字に見えないコメントのざわつきとか、弊社の若手もそれを見てキャラクターを提案していますよ。
陸川:
今は数字に表れないファンの空気感を分かる人がクライアント側にも増えてきている印象です。だからこそ、これまでより多くの企業がキャラクタータイアップのプロモーションに取り組んでいるのだと思います。
キャラクタータイアップの今昔
ー先ほどキャラクタータイアップに取り組む企業が昔と比べて増えてきている
というお話がありました。お二人はどのような変化を感じますか?
陸川:
最近、キャラクターを使わなかった企業がキャラクターを使うようになっていますよね。ある企業は機能訴求だけでアプローチしていましたが、最近はキャラクターを多く使うようになっています。これは若い世代に対する影響力が大きいという前提があるからですよ。
大椛:
これはマーケットの変化ですね。
陸川:
はい、要は今まで大きなマーケットでマスメディアが力を持っていた時代から、スモールマスという小さい塊が集まってマーケット全体を形作る時代になりました。そこにアプローチする上で、コミュニティを持つコンテンツを使うことによってアプローチがしやすくなります。だから推し活とかって言われるようになっているんですよね。最近話題になっているSNS発のキャラクターがまさにそうだと思います。
大椛:
はい、だからこそ起用の仕方も変わりました。
陸川:
例え広告料が少なくても熱量があるコアファンであれば、自ら布教してくれるんですよね。キャラクタータイアップにおけるファンマーケティングではそういった二次的な波及効果も現れるので、タイアップキャンペーン自体が自走していくんです。
大椛:
あと肌感覚ですが、版権元さんがプロモーションタイアップに対する力の入れ方が昔に比べると強くなってきているような気がしています。
陸川:
もちろんです。ビジネスとして市場が大きくなっていることもありますが、昔はNGだった条件でも「短期契約であれば、OKですよ」と許諾を頂けたり、これまでよりも門戸が開かれているように思います。
タイアップはキャラクターのブランディングに大きく関わる部分なので、クリエイティブなどの使用に対する許諾確認は今も変わらずしっかりあります。ただタイムリーに売ることが重視される複合型キャンペーンが増えていて、それに合わせるために昔より柔軟になっているのではないでしょうか。
例えば映画に合わせたタイアップは変化が顕著ですね。TVアニメやドラマに至っては3カ月間放映されますが、映画などは1カ月くらいしかないですからね。その盛り上がりを逃さないために、ビジネスモデルとして臨機応変になったと言いますか、許諾しやすい環境になっているような気がしますよね。
ーまさにキャラクタータイアップの最前線だからこそ聞ける貴重なお話です。
ありがとうございました。
後半では企業オリジナルキャラクターのニーズの現況、
今後ヒットするキャラクターの傾向をお聞きします。
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