ADEXのクリエーターにスポットを当てて、実際に担当した仕事を軸にインタビュー形式でクリエーティブについていろいろと語ってもらう「ADEXクリエーターズファイル」。今回は記念すべき第1回。ADEX CD局のクリエーティブディレクター、菅野 友(かんの たすく)さんにサイボウズで受賞した広告賞の数々からADEXのクリエーティブについて聞いていきましょう。〈インタビュアー ADEX総研 天野 泰司〉
天野:それでは、菅野さん、よろしくお願いします。
菅野さんは、2018年の58th ACC TOKYO CREATIVITY AWARD ACCグランプリ/総務大臣賞を受賞したサイボウズ「サイボウズ創立20周年企画」をはじめ、いろいろな広告賞を受賞しています。菅野さんの受賞した作品を中心に、いままで目に見えなかったクリエーティブの背景とか作品への想い、菅野さんならではのクリエーティブメソッドについて、しっかりと聞かせていただきます。
さっそくですが、菅野さんが積極的に広告賞にエントリーし始めたのは2014年頃だと記憶しているのですが、その理由は何ですか?
菅野:まず、単純にクリエーターとして広告賞にチャレンジしたいという想いもありました。
日経BP広告賞では、2013年「最優秀IT広告賞」、2014年「優秀IT広告賞」と2年連続で受賞しましたが、2013年に受賞した作品は、サイボウズの“もしも、ショッカーがサイボウズを使ったら”という設定で考えた企画です。取引先への対応や上司のサポートなど現場で頑張っているビジネスマンたちをショッカーに重ねて『我々だって、負けたくないんです。』というコピーに彼らの打ち合わせ風景のビジュアルでサイボウズの情報共有ツールをアピールするという広告です。認知度のあるキャラクターを起用し、気になるテーマでコンテンツにすることで、ビジネスマンがリーチするメディアでどうしたら目立つかを意識して広告を作りました。面白いコンテンツでどうやったら目立つのかを追求しました。加えてわたし自身が仮面ライダーのファンだったのも影響しています。(笑)
天野:その後、2014年のサイボウズの長尺動画「働くママたちに、よりそうことを。」ではACC CM FESTIVALで審査員特別賞、PRアワードグランプリで優秀賞を、さらにSpikes Asia Film部門ではBronze、New York FestivalではFinalist Awardなど、海外の広告賞も受賞しましたが、その頃にはずいぶんと広告のテイストが変わったように感じていました。クライアントを含めて菅野さんたち制作チームの意識変化などがあったのでしょうか?
菅野:そうですね。以前は目立つことを強く意識した広告づくりを指向していました。しかし、クライントのターゲットが多様になったのと、ビジネスマンからの見られ方や、SNS上での見られ方なども多角的に意識するように変化してきて、それによって広告作りも変化していきました。
天野:サイボウズの「働くママたちに、よりそうことを。」は、今ではワンオペなど社会課題として認識されていますが、当時はまだその認識は薄く、逆にこの課題を取り上げることでの当事者からの反応や、問題提起だけで解決策を提示しないことへの批判など、いわゆるネガティブな反応、「炎上」が怖くなかったのですか?
菅野:その部分についてはクライアントを含めて制作チームでは、誤解に対してはキチンと説明をする手段をSNSやオウンドメディアに用意をしました。そして、ローンチまでに何度も何度もチーム内で議論と検討を重ね、いろんな立場の人たちからもヒアリングもしました。ネガティブな意見が来ても、しっかりと説明できるように企画を組み立てていました。
天野:2014年以降もサイボウズでは、2015年には田中圭さんとオダギリジョーさんをW主演とした全6話シリーズのワークスタイルドラマを発表しましたね。
そして2017年にはACCグランプリを受賞したワークスタイルアニメ「サイボウズ創立20周年企画/アリキリ」全4話を公開しましが、これは最初からWeb動画を制作することで企画されたのですか?
菅野:2018年にサイボウズが創立20周年を迎えるにあたって、早い段階からクライアント担当部署が主催する創立20周年の企画会議に参加していました。
大分早い、まだカタチの無い段階から企画会議へ参加していました。また、こういうことに寛大なのもADEXのいいところだと思います(笑)。
クライアントとの共同作業で作り上げた「サイボウズ創立20周年企画」でしたね。
後編に続きます。
後編はこちらから
●ワークスタイルアニメ「サイボウズ創立20周年企画/アリキリ」はYouTubeのサイボウズの公式チャンネル「cybozu brandmovie」にてご覧ください:こちら から
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