昨今の新卒採用における有効求人倍率は現在約1.7倍。選ばなければ『1人の学生が1.7社の内定をもらえる採用環境』ということになります。その背景には少子化や就活生の価値観の多様化があります。
この年々人材確保が難しくなっている採用状況では、より優秀な人材確保が容易ではありません。BtoB企業だけでなく知名度の高いBtoC企業においても、企業は従来の採用手法だけでは十分な人材を確保することが難しくなり、より戦略的な採用活動が求められています。
今回ADEX日本経済広告社が独自調査を実施。就活生のマインドの変化とその傾向を分析しました。
※2022~2024年に入社した若い会社員の方々に、就活当時を振り返ってご回答いただいています。
■就活生の傾向とタイプ別分析~
前編:成長より安定? 2025年のマインドの変化とは。
・就活の始まりは「知ること」から。「企業を知っていること」が影響した学生は6割に。
・半数の就活生のエントリー数は10社以下。理系では4割が3社以下という結果に。
・就活生が影響を受けた広告とは。WEB広告やSNSに次いでテレビと交通広告が横並びに。
・企業の動画広告は新卒採用に効果あり。BtoB企業志望や理系学部の学生には大きく関与。
・就活生は視聴時間もタイパ重視。できれば1分、長くても3分程度まで。
・TVCM・WEB動画広告・OOH広告など就活生のタイプに合わせた広告制作を。
・2025年度以降の就職活動を成功させるために
変わる新卒採用における『企業選定』。「風通しの良さ」が「知名度」の4倍以上に。


(図1)
企業選定において最も重視するトップ3は「給与が高い」「業績の安定」「希望した業界」。これらは十数年来変わっておらず、予測可能な結果と言えますが、そこに「社内の風通しがよい」が肉薄。「個性を大事に」「知名度」「成長性」「規模」「社員教育」といった点を大きく上回っての4位となりました。特に最も重視した点においては「知名度がある」の約3.5倍以上のスコアをつけており、現在の就活生の新たな価値観を示しています。
能力よりプライベート重視の『働き方』を選択する就活生たち。

(図2)
働き方における最も重視した点は、複数回答、単一回答ともに「仕事もプライベートも」が群を抜いてトップになりました。
次いで、「転勤がない(なさそう)」が続きます。
「希望した職種」や「自分の能力を高められる」といった配属や成長といった要素と比較すると、4倍以上の差がついており、プライべートを大事にする傾向が強いと言えます。
企業選定✕働き方におけるクラスターの全属性で「仕事もプライベート~」がトップに。
理系学部では、希望職種や専門性に対するこだわりも。

(図3)
「企業選定」の重視点では主な属性区分ごとで見ても社内の風通しが良いが上位に来ており、働きやすさを最も重視している傾向を見ることができます。
また「働き方」の重視点において、「仕事もプライベートも」がすべての属性で群を抜いて高く、2位以下の倍以上のスコアに。また、理系学部では、希望職種や専門性に対するこだわりが見られるものの、トップはやはり「仕事もプライベートも」が群を抜いて高い結果となりました。
自由回答から見る就活マインドでは、コロナ禍が安定性重視を加速。
コロナ禍という特殊な状況下での就職活動が影響し、安定性を最優先に考えるように。将来のライフイベントや生活の安定を見据えた選択も見られました。
このように、アフターコロナの現在でも当時の記憶は非常に強く、コロナ禍の影響を受けた就職活動の中で、安定性とライフワークバランスを重視した選択をとったことがわかります。
総じていえば、コロナ禍を背景に「安定志向」が強まっており、さらに言えば「長期的に安心して働ける会社」を求めている。
結果として業績はもとより、「社内の風通しがよい」や「プライベートも大事にできる」にスコアが集まったと言えます。
また「自身の成長・キャリアアップ最重視」や「転職も当たり前」といった意識はが長期的に高まっており、今もその回答は多く見られますが、コロナ前と比べ相対的に見て、その優先順位は若干後退したと考えられます。
メジャー好き、プロ志向、やりがい~平均像とは異なる3つのクラスターとは。

(図4)
「安定性」と「長く働けること」を重視することが平均像として見えた一方で、当然ながら就活生の意識も一様ではなく、規模や安定性だけを重視した就活生ばかりではありません。
その周辺を深堀すべく、企業選定、働き方の回答をもとにクラスター分析を行いました。
大手著名企業にこだわる『メジャー好きタイプ』
比較的平均像に近く、安定性や年収、メジャーさを重視する属性です。その一方でプロ志向のポイントは平均より低く、特定分野においてプロフェッショナルであることは重要視していません。
市場価値を高めたい『プロ志向タイプ』
他の2クラスターと比較してプロ志向のポイントを偏重している属性です。その分メジャー志向のポイントは低い傾向があります。
社会的影響を重視する『やりがいタイプ』
社会的影響力の大きさのポイントを重視するこのタイプは平均的な就活生が重視する働きやすさよりも「自身の仕事が世の中にどのような影響を与えるか」を重視します。一方プロフェッショナルとして市場で評価されることはも重視していません。
フリーワードから見えてくる特徴的クラスター毎に重要視する価値観。
フリーアンサーに含まれるワード(フリーワード)をワードクラウドとして検証し、特徴的なクラスターがどのような価値観を重要視しているかを見てみました。
■メジャー好きタイプ

(図5)
平均的な就活生よりさらに安定志向、大企業志向を重視しています。同時に転勤や給与など大手企業特有の関心が見られます。
■プロ志向タイプ

(図6)
専門性を活かした仕事を、教育環境と働きやすい環境が整った会社で息長く続けられることを重視しています。理系、特に女性に多いタイプです。
■やりがいタイプ

(図7)
社会的影響の大きいことを自ら成し遂げたい、そんなやりがいを最重視しています。自身の成長を重視していますが、働く環境面には比較的寛容な面が見られます。
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当然、就活生の意識も一様ではなく、規模や安定性だけがポイントではありません。
理系の方々(特に女性)を重視したいと意識するされるなら環境面のアピールが重要となります。
他方、企業規模が小さくても、社会への影響力に惹かれる、意欲の高い就活生も数多くいます。どのような就活生にフォーカスして、自社の売りをどうアピールしていくかが重要となります。
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■調査概要
・対象エリア :日本全国
・対象者条件 :就職活動経験のある4年制大学卒
新卒入社1~3年目の会社員(正社員)
・有効回答数 :800
・調査手法 :インターネット調査
・調査期間 :2024年7月12日~22日
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ADEX日本経済広告社では、採用活動・就職学生対策・企業ブランディング等を課題とした様々な展開・実績がございます。お気軽にご相談・お問合せいただきたいと存じます。

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